GCMS-TQ™8040 NX
GC×GC-MS を用いたクチクラワックス成分の網羅分析
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はじめに
植物の地上部はクチクラで覆われています。クチクラは、水分の損失、紫外線、病原性細菌や菌類から植物細胞を保護する機能を持っています。クチクラはまた、植物と昆虫間の相互作用にも関与すると考えられています 1)。クチクラに含まれるワックス成分は、クロロホルムなど低極性の有機溶媒を短時間処理して溶出される脂質代謝産物で、炭化水素、アルコール、ケトン、およびステロールのようないくつかの脂質クラスで構成されています。一般的に、それぞれの脂質クラスには、異なる炭素鎖長を有する分子種が含まれています。このようにクチクラワックスは種々の脂質クラスから構成される複雑な混合物であるため、GC-MS による組成分析を行う場合、有機溶媒による溶出後に薄層クロマトグラフィーによる各脂質クラスの分離などの前処理作業を行う必要があります。多検体に対して前処理を行うためには、より多くの作業時間が必要になります。そのため、クチクラワックスを高効率かつ迅速に定性評価するためには新たな分析方法を確立する必要がありました。本稿では、包括的二次元ガスクロマトグラフ質量分析(GC×GC-MS)システムによる脂肪酸やクチクラワックスの一斉分析の例を紹介します。クチクラワックスのような生物由来物質から抽出された複雑な脂質混合物を分析する上で、このシステムは強力なツールとなることが期待されます。
2018.09.18
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