食品・飲料
遺伝子に基づく食品中の肉種の判別
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はじめに
食の安心、安全を守るために、食品衛生法や JAS 法等の法令に基づいて、原産地や肉種、部位などを表示するよう定められています。また、イスラム教やユダヤ教では宗教上、豚肉の摂取は厳しく禁じられており、食肉および食肉製品に含まれる肉種の情報は非常に重要です。このように様々な消費者の安心と品質を保証するための肉種判別技術が求められています。 肉種を判別する方法は、タンパク質に基づく方法(ELISA:酵素結合免疫吸着法)と遺伝子に基づく方法(PCR:ポリメラーゼ連鎖反応)があります。タンパク質に基づく方法は比較的簡単で安価に分析できますが、種の近いものの判別や加工食品からの分析には向かないとされています。一方、遺伝子に基づく方法は DNA が比較的熱に対して安定なことから、加工食品でも分析が可能とされています。遺伝子による肉種判別では、ミトコンドリア DNA 上のシトクロム b 遺伝子がターゲット配列として用いられます。ここでは、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマ、ヒツジ、ヤギからの DNA 検出例に加えて、食肉加工品からの肉種判別の分析例について紹介いたします。
2019.09.02