MultiNAによるヘテロ二本鎖移動度分析(HMA:Heteroduplex Mobility Assay)

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はじめに

TAL effector nuclease (Transcription Activator-Like EffectorNuclease) や CRISPR/CAS9 (Clustered Regularly InterspacedShort Palindromic Repeats/CRISPR Associated Proteins 9) によるゲノム編集ツールの登場によって、標的遺伝子に対して、特異的に破壊を加えたり、遺伝子を導入することが可能になりました。 微生物、動物、植物など、これまでに遺伝子改変が困難であった生物にも適用が可能になってきたことから、急速に普及しています。 標的部位における変異導入の有無についての評価には、直接配列を解析する方法や二本鎖中のミスマッチを認識して切断する酵素を利用する方法がありますが、いずれも費用と労力を要します。 HMA(ヘテロ二本鎖移動度分析)は簡便、迅速、安価に実施できる方法です。通常の電気泳動において、DNAは完全相補的なホモ二本鎖であり、その移動度は分子量(サイズ)に依存します。一方、二本鎖のうちどちらか片方の一部に変異がある DNA は、ミスマッチ部分が相補鎖を形成しておらずヘテロ二本鎖 DNA となっています。ヘテロ二本鎖DNA のミスマッチ部分はホモ二本鎖 DNA とは立体構造が異なっています。そのためへテロ二本鎖 DNA は電気泳動における移動度が遅くなる傾向にあります。HMA はこの現象を利用して電気泳動による変異の有無と遺伝子型を判定することができます。 本アプリケーションでは、モデル DNA による HMA の検出を DNA/RNA 分析用マイクロチップ電気泳動装置 MCE-202MultiNA での分析例をご紹介いたします。

2017.09.03