プロテインシーケンサを用いた還元アルキル化されたシステインの検出

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はじめに

現在のタンパク質の解析は質量分析装置とゲノムデータベースに基づく検索エンジンを用いたタンパク質の同定を行うプロテオーム解析が主流です。タンパク質はそれぞれ固有の立体構造を形成しており、その立体構造をもつことでそのタンパク質の機能を有しています。タンパク質の立体構造は、4 つの階層から構成されています。その階層の一つにタンパク質を構成しているアミノ酸の側鎖同士から形成される三次構造があります。分子内システインのジスルフィド(S-S)結合により分子内架橋からつくられる立体構造もその一つです。このジスルフィド結合には、そのタンパク質の立体構造を安定化させる働きがあり、通常、S-S 結合を形成している場合が多々あります。そのため、アミノ酸配列分析でもシステインを同定することが必要となる場合があります。プロテインシーケンサでは、N 末端側の半シスチン残基は、エドマン分解により ATZ-半シスチンに変換されても、C 末端側の半シスチンとジスルフィド結合をしているため、溶出されず、HPLC で検出することができないため、タンパク質の還元アルキル化を行い、ジスルフィド結合を切断してからシーケンス分析を行い、PTH-修飾システインとして同定することが一般的です。 本稿では、還元アルキル化を行ったペプチド・タンパク質をプロテインシーケンサ PPSQ™-50A シリーズ(イソクラティックシステム、グラジエントシステム)を用いて、PTH修飾システイン(還元アルキル化されたシステインのフェニルチオヒダントイン誘導体)の同定を行った例をご紹介いたします。

2020.10.19