ライフサイエンス
大腸菌O-157 タイピングシステムIS-printing System(TOYOBO)への適用
ダウンロード
はじめに
食品感染症の起因菌である腸管出血性大腸菌O157 を対象とした分子疫学解析は,パルスフィールド・ゲル電気泳動法(PFGE 法)が最も一般的な方法として用いられてきました。しかしながら,PFGE 法は操作が煩雑な上,結果を得るまで1 週間程度の時間を要するという課題があります。 この課題を解決するため,IS-printing System(IS 法)はPFGE 法より簡便な疫学解析法として開発されました*1)。大腸菌のゲノム中に分布するInsertion Sequence(IS)に対しマルチプレックスPCR を実施し,アガロースゲル電気泳動でバンドパターンを分析し菌株を同定する方法です。 各IS 領域に対するPCR 増幅産物の有無をコード化することにより,他株との判別が容易に実施できます。IS 法を利用することで解析に要する時間は大幅に短縮することが可能となりましたが,その一方で分析に手作業が介在する点は従来と同じであり,特に3 % のアガロースゲルを安定的に作成するには技量と手間を要します。ここでは,アガロースゲル電気泳動を用いたIS 法よりも迅速且つ明瞭な結果が得られる自動電気泳動装置MCE-202 MultiNA を利用したIS 法への適用をご紹介します。(※ IS-printing System は東洋紡(株)から販売されています)
2021.03.28