医薬品製造分野向けシステム (TOC-LCPH/CSH,TOC-VWP/WS)
排水のTOC およびTN 測定
はじめに
TOC(全有機体炭素量)の測定は、BOD(生物化学的酸素要求量)や COD(化学的酸素要求量)測定にくらべて、短時間で迅速に再現性よく分析できる方法のため、水の汚れを示す有機汚濁物質の指標として利用されています。TOC は有機物を構成する炭素の量を直接に測定する方法なので、試料のマトリックスの影響を受けにくい特長があります。そのため、塩類を含む工場排水の原水管理から処理後の排水や放流水の管理、また上水や環境水、純水の有機物量の監視などさまざまな分野で使用されています。とくに、工場排水や排水処理施設の流入水は有機汚濁物質を多く含んでいるため、処理施設の稼働条件を最適化するために TOC を管理することが求められます。 また、TN(全窒素)は富栄養化現象の原因物質として注目されていて、環境汚染防止のために排水規制値が設定されるなど管理項目として重要視されています。下水排水にはアンモニア性窒素が多く含まれていますし、原料や添加物などの窒素化合物を使用するような工場では排水処理水に窒素化合物が含まれます。そのため、排水の TN 濃度を管理することは環境負荷の低減のために重要です。 島津燃焼式全有機体炭素計 TOC-L は、全窒素測定ユニット TNM-L を付加することで、TN 測定および TOC と TN の同時測定も可能です。ケルダール法で窒素を測定する場合には、酸やアルカリなどの複数の試薬を使用し、分解や蒸留などの操作に数時間かかります。しかし TNM-L は熱分解 - 化学発光方式なので、試薬は使用せず、1回の測定時間は 5 分程度なので迅速に測定結果を得ることができます。 また TOC-L には自動希釈機能がありますので、排水原水のような高濃度の試料でも自動希釈して測定することにより、触媒や燃焼管などの消耗品の交換頻度を少なくすることができます。 今回は島津燃焼式全有機体炭素計 TOC-LCPH と全窒素測定ユニット TNM-L のシステムを使用して、めっき工場排水と処理水の TOC と TN を同時測定した例を紹介します。
2017.10.26
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