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はじめに

大気中の微小粒子状物質(PM2.5)は,発生源から直接排出される一次粒子と大気中の化学反応によって生じる二次生成粒子で構成されます。PM2.5 は直径が 2.5 µm 以下の微小な粒子であり循環器系や呼吸器系に影響を及ぼす可能性があると心配されています。平成 21 年に 「微小粒子状物質の環境基準」が定められ,微小粒子状物質の発生源や二次粒子生成機構に関する知見とその低減対策について議論されてきました。特に,二次粒子生成の機構に関係する PM2.5 中の水溶性有機炭素(WSOC;Water Soluble Organic Carbon)の濃度測定が重要視されてきています。 WSOC の測定方法には,環境省から出されている「水溶性有機炭素成分測定方法」があります。これは,フィルタに捕集した PM2.5 から WSOC を超純水に抽出し,TOC 計あるいは炭素分析装置で測定する方法です。PM2.5 の発生源の一つにディーゼル車がありますが,その排気粒子(DieselParticulate Matter)は 1 µm 以下の粒子から構成されているため PM2.5 に対する寄与が大きいと言われています。主要構成成分は炭素成分であり,その中に WSOC が含まれています。今回,環境省の提示する測定方法に則って,ディーゼル排気粒子中の WSOC を島津全有機体炭素計 TOC-L で測定した例をご紹介します。

2016.11.29

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