医薬品製造分野向けシステム (TOC-LCPH/CSH,TOC-VWP/WS)
脱硝装置におけるTN 測定とNOx 測定
はじめに
火力発電所などでは、環境保全のために排ガスから有害物質である窒素酸化物(NOx)を除去する脱硝装置が使用されます。脱硝装置は、還元剤として無水のアンモニア、アンモニア水もしくは尿素水が煙道に添加され、窒素酸化物(NOx)を窒素と水に分解し大気汚染を低減します。特に尿素水は取り扱いが安易で、排水処理の問題がなく低コストに利用することができます。尿素水は脱硝装置で発生した NOx を効率よく分解するため最適な濃度を保つ必要があります。この濃度が低いと NOx を十分に分解しきれなかったり、逆に濃度が高いと有害なアンモニアを外部に排出してしまうことがあります。尿素水は全窒素(TN)測定を行うことで品質を管理できます。また、脱硝装置の出口で排ガス中の NOx 濃度を連続的に測定することで、NOx の除去効率を確認でき、システム全体の稼働効率を最適化することができます。 島津燃焼式全有機体炭素計 TOC-L(ラボ用)、TOC-4200(オンライン用)は全窒素(TN)測定オプションを付加して、簡単に TN を測定することができます。一般的な窒素測定の方法の一つであるケルダール法の場合、酸やアルカリなどの複数の試薬を使用し、分解や蒸留などの操作に数時間かかります。しかしこれらの TN 測定オプションは熱分解-化学発光方式で測定するので、試薬は使用せず、1回5分程度の測定で迅速に結果を得られます。また、排ガス中の NOx 濃度の測定には、ポータブル NOx 計 NOA-7100 が使用できます。NOA-7100 は測定に必要なポンプ、フィルタ、電子クーラなどの前処理部が内蔵されており、試料ガス入口に試料ガスを導入するだけで NOx 濃度をリアルタイムで測定できます。さらに Wi-Fi 通信機能搭載モデルを使用すれば、装置から離れた場所でもトレンドデータを確認できます。全有機体炭素計とポータブル NOx 計を合わせて用いれば、尿素水の品質や、NOx の除去効率を連続的に監視して、システム全体の稼働を最適化させることができます。今回は TOC-L と TN 測定オプション TNM-L のシステムを使用して、尿素水を測定した例を紹介します。
2018.03.22
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