低分子医薬品
TOC-VCPHによる医薬品成分残留物のスワブ/直接燃焼炭素測定(洗浄バリデーションへの適用)
はじめに
医薬品工業における製造設備の洗浄確認をする洗浄バリデーションは,品質管理や安全性の確保の観点から重要で,前製品薬物の交叉汚染や異物混入を防止するために評価試験を行います。製造設備の薬物残留物を評価確認する装置としてはHPLC(高速液体クロマトグラフ)がありますが,溶媒抽出や場合によっては濃縮などの前処理が必要であるため測定に時間を要します。一方,TOC計(全有機体炭素)は前処理が必要ありませんので,短時間で薬物の残留量を容易に検出することができます。 洗浄バリデーションのサンプリング方法にはリンス法とスワブ法がありますが,米国FDAや厚生労働省が高く評価し推奨しているのはスワブ法です。 スワブ法では,スワブ材で設備表面の一定面積をふき取り付着残留物を物理的に採取し分析するため,リンス法では採取の困難な不溶性の付着物でもふき取って採取することができます。 島津製作所の固体試料燃焼装置SSM-5000AをTOC計に組み合わせた「スワブ/直接燃焼炭素測定法」を使用すると,無機材質のスワブ材を使用することにより,残留物をふき取りしたスワブ材をそのままSSM-5000Aで燃焼酸化させて炭素量を測定します。そのため,水では抽出困難な不溶性の残留物も測定することができ,またスワブ材からの試料の抽出操作などの前処理をする必要なく,迅速で正確な測定を行うことができます。 今回は,全有機体炭素計TOC-VCPHと固体試料測定装置SSM-5000Aのシステムを使用して医薬品成分を測定した例についてご紹介します。
2009.04.04