MALDI-TOFMSを用いたMS/MS分析による工業材料の構造解析01-有機EL用ポリマーの解析-

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はじめに

MALDI-TOFMSによる分析は,各種工業材料の構造解析法の一つとして広く用いられています。MALDITOFMS分析からポリマーの繰返し単位の質量や両末端残基に関する情報が得られますが,部分構造に関する情報はあまり得られませんでした。高エネルギー衝突誘起解離(高エネルギーCID)を特徴とするMALDI-TOFMS装置を用いて,有機EL用ポリマーにMS/MS分析を適応し,特定イオンのプロダクトイオンのマススペクトルにより構造解析を行った事例をご紹介します。 有機ELディスプレイの発光層には低分子型と高分子型があり,高分子型は大型化,フレキシブル化が可能なため,今後の開発動向が注目されています。高分子型には長い共役系を有する特異な構造のポリマーが使用されることが多く,NMR分析や熱分解GC/MS分析を駆使しても完全な構造決定は難しいので,MALDI-TOFMSによるMS/MS分析の併用が有効です。Fig.2に発光層用ポリマーのマススペクトルを示しました。

2009.01.24

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