トリプル四重極型LC/MS/MSを用いた杜仲茶中の定性分析(プリカ―さイオンスキャン)

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はじめに

トリプル四重極型質量分析計LCMS-8030の定性分析では,共通のプロダクトイオンをもつプリカーサイオンを調べるプリカーサイオンスキャンや,共通の中性フラグメントを脱離するイオンを検出するニュートラルロススキャンが利用されます。ここでは,LCMS-8030を用いた杜仲茶中の有効成分探索を例に取り,プリカーサイオンスキャンについて説明します。 プリカーサイオンスキャンは,Q1でスキャン,Q3を特定のm/zに固定して衝突誘起解離(CID)により生じるプロダクトイオンを選択的に分析する方法です。共通のプロダクトイオンを生成するプリカーサイオンを調べることができ,共通の部分構造を持つ成分のスクリーニングに利用されます。 今回ターゲットサンプルとした杜仲茶にはイリノイド類であるゲニポシド酸やクロロゲン酸(3-カフェオイルキナ酸)が豊富に含まれています。アプリケーションニュースNo.C82と文献情報1)よりゲニポシド酸はm/z 123,クロロゲン酸はm/z191,アスペルロシドはm/z 147がメジャーなプロダクトイオンとして検出されることが分かっていますので,これらをプロダクトイオンとしたプリカーサイオンスキャンを行うことにより,類縁化合物の探索を試みました。実サンプルとして杜仲茶を用い,Q1のスキャン範囲をm/z 200から500としてプリカーサイオンスキャンによるLC/MS測定を行いました。杜仲茶は杜仲の葉20 gを300 mLの熱湯で10分間抽出する操作を3回繰り返し,水で1 Lになるように定容したものを水で10倍に希釈後,0.2 μmのフィルターでろ過しました。イベント1の3.4 minにピーク1,イベント2の7.6 minと10.2 minにピーク2と3,イベント3の8.6 minにピーク4が溶出しました。

2011.11.09

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