ノンサプレッサー方式IC-LC/MSによる過塩素酸の分析

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はじめに

過塩素酸塩は,ロケットエンジンの推進燃料や花火の火薬などに使用されている化学物質です。健康面では甲状腺機能低下等への関連が疑われており,2005年にアメリカ環境保護庁(EPA)が参照用量(RfD)を0.0007mg/体重kg/日に設定しました。この参照用量は,飲用水等価レベルの数値24.5ppbにも反映されています。また,日本では過塩素酸は水道法の要検討項目となっています。 過塩素酸分析については,逆相や陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離後,質量分析計で検出するEPA Methodが報告されています。METHOD 331.0ノンサプレッサー方式陰イオン交換クロマトグラフィーの場合,100~200mmol/Lという濃度の揮発性塩水溶液を溶離液として使用しています。揮発性であっても,高濃度の塩溶離液は質量分析計におけるイオン化効率の低下や装置汚染の原因となるため最小限の使用が求められます。 今回,陰イオン交換カラムShim-pack IC-A3(S)による過塩素酸分析例をご紹介します。このカラムは,質量分析計に適した低農度の揮発性塩溶離液による過塩素酸分析が可能です。分析条件を検討し,20% アセトニトリルを含む25mmol/L酢酸アンモニウム水溶液を溶離液として使用,過塩素酸イオンを約16分に溶出させました。過塩素酸イオンより早く溶出する陰イオン(F,Cl-,NO2,Br-,NO3-,PO43-,SO42-)などを質量分析計に導入しないように,カラムからの溶出液は0-11.5分までは廃液としました。その間,質量分析計へは溶離液と同組成の液を別のポンプで流し,インターフェース内インターフェース内の急激な変化を低減しました。

2012.01.16

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