化学修飾抗体の簡易質量測定-卓上型MALDI-TOF MSを用いた修飾有無、修飾数の確認-

はじめに

抗体に薬物を結合させた抗体薬物複合体（Antibody drugconjugate: ADC）は、抗体の持つ高い選択性と低分子薬剤の効果を組み合わせることで、従来の低分子医薬品よりも、より効果的な抗癌作用が期待される医薬品として 2000 年代に登場しました。すでにいくつかの製品が市場に出ていますが、ADC のようにタンパク質に別の化合物を人為的に結合させる場合、その化合物がどの程度結合しているか、またどの部分に結合しているか、ということは重要な品質特性の一つとなります。 そこで、本稿では研究用標準抗体に低分子化合物を人為的に結合させた疑似 ADC を作成し、卓上型 MALDI-TOF MS を用いて分析した事例を報告します。

2018.12.02