ライフサイエンス
In-Source Decayによるタンパク質のシークエンス解析
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はじめに
MALDI-TOF型質量分析計では,イオン源内におけるフラグメンテーション(ISD, In-Source Decay)により生じたイオンを検出することができます。タンパク質についてISDが生じた場合には,N末端側のc系列イオンが主に検出されます。 これまで,2,5-dihydroxybenzoic acid(DHB)がISDを引き起こすマトリクスとして汎用されていましたが,最近1,5-diaminonaphtalene(DAN)が,より効果的なマトリクスとして報告されました。DANを使用してISDイオンを検出することにより,簡便にアミノ酸配列情報を取得し,ホモロジー検索により相同性の高いタンパク質を調べることができます。 DANをマトリクスとして得られたウシ血清アルブミン(BSA)の質量スペクトル(リニアーモード)を示しました。BSAのN末端のアミノ酸配列について,c9~c41(c34とc39を除く)を帰属することが出来ました。ピークの帰属にはAXIMA付属ソフトのDatabase viewer機能を使用すると便利です(Leu/IleやLys/Glnの区別は不可)。
2009.07.29