LCMS-8050
微生物育種へのメタボロミクス応用
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はじめに
微生物を用いた有用物質生産は食品,バイオ,エネルギーなど幅広い産業分野で古くから利用されています。たとえば食品分野では,酒類,発酵食品に代表されるように微生物の発酵プロセスを利用した食品への応用が行われていますし,バイオ分野においてはアミノ酸や抗生物質の大量供給に利用されてきました。またエネルギー分野では今後の課題としてコスト面での改善がハードルになっているものの,バイオ燃料への実用的な応用に期待がもたれています。このように様々な有用物質生産に利用されている微生物ですが,更なる生産効率の向上を目指して,遺伝子改変や育種といった操作がよく行われます。メタボロミクスはこのような微生物育種における代謝変動を評価するうえで,目的物質はもちろんのこと,その前駆体・中間体を含めた代謝変動を理解するために有効な技術であり,物質生産に関連した代謝経路をより深く理解することで,生産効率の高い物質生産への応用が期待されます。本稿ではシステイン産生大腸菌を試料として,システイン合成に使われる硫黄源にチオ硫酸あるいは硫酸を添加した場合に,関連する含硫代謝物が培養経過に依存してどのように変動するかを LC/MS で分析した例をご紹介します。
2016.07.08
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