新規カラム“Shim-pack MAqC-ODS Ⅰ” による医薬品不純物の分析

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はじめに

医薬品の多くは塩基性化合物です。医薬品の不純物である未反応の原料や副生成物・分解物も同様に,高極性の塩基性成分が大部分を占めます。これらの化合物を分析する際に,逆相モードでは保持が弱いことから,イオンペア試薬を添加した移動相が用いられてきました。しかし,イオンペア試薬を使用した場合,カラムの平衡化に時間がかかることやグラジエント溶出が困難であることが課題でした。 新たに開発したShim-pack MAqC-ODS Ⅰは,陽イオン交換性を有するODS カラムですので,塩基性化合物を特異的に保持させることが可能となります。これにより,イオンペア試薬を含まない移動相でも高極性塩基性化合物の保持が可能です。グラジエント溶離も使用することができ,高極性塩基性化合物と他の成分の一斉分析において時間短縮や感度向上を達成することが可能になります。 また,不純物ピークの解析にLC/MS を用いる場合,一般的に使用されるアルキルスルホン酸ナトリウムのような不揮発性のイオンペア試薬が含まれた状態では,LC/MS のインターフェイス等に析出物が固着する恐れがあります。更に,他の分離モードに切り替える際には,流路内などに残留したイオンペア試薬によるバックグラウンドの上昇も懸念され,洗浄に相当の時間を要します。 今回ご紹介するShim-pack MAqC-ODS Ⅰで分析した際に用いた移動相を,自動前処理システム Co-Sense for LC/MS等を利用して脱塩を行うことで,LC/MS 測定が可能です。 ここでは,Shim-pack MAqC-ODS Ⅰによる医薬品不純物の分析としてファモチジンの分析例をご紹介します。

2021.03.28