食品・飲料
Prominence-i を用いた低分子水溶性食物繊維の分析
はじめに
食物繊維は,消化器系疾患,循環器系疾患,糖尿病などの発生率を減少させる疫学的調査結果から,生理作用に関する研究が進み,腸内においてコレステロールなどの脂質の吸収を抑制させたり,有害物質を吸着し排泄を促す役割など,様々な効果が知られています。近年その機能性が注目され,化学的に合成された食物繊維を添加した加工食品なども増えてきました。食品の栄養成分表示においては,食物繊維の含有量を積極的に表示したり,また国によっては表示が義務化されています。食物繊維の対象成分は多く,定義は国や政策により異なります。主に,細胞壁を構成するセルロース,ヘミセルロース,リグニンや,動物性多糖類キチン,キトサンなど(不溶性食物繊維),ペクチンなどの多糖類(高分子水溶性食物繊維)や化学的に合成された多糖類ポリデキストロースや難消化性デキストリンなど(低分子水溶性食物繊維)があります。 食物繊維の測定法は 一般的に酵素-重量法(enzymaticgravimetric method,プロスキー法)が用いられています。試料に酵素反応を行った後にろ過し,その残渣の重量を測定して食物繊維量とします。しかしこの方法では,ポリデキストロースや難消化性デキストリンなど,低分子水溶性食物繊維の回収率が低いことが問題になっていました。この方法に HPLC 法を加え,酵素 - 重量法のろ液を HPLC 分析し,それぞれの定量結果の合算値を食物繊維の総量として表示します。なお,日本の食品表示基準(平成二十七年三月二十日内閣府令第十号)においては,プロスキー法又は高速液体クロマトグラフ法で測定することになっています。本アプリケーションニュースでは,「食品表示基準について別添 栄養成分等の分析方法等」を参考に,酵素 - HPLC 法を用いて低分子水溶性食物繊維の分析を行いました。装置には一体型 HPLC の Prominence-i に示差屈折率検出器RID-20A を搭載したものを用いました。
2016.06.28