Gradient Polymer Elution Chromatography(GPEC)を用いた組成に基づくポリマーの分離検討の効率化

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ユーザーベネフィット

- GPECを用いることで、GPCとは異なり分子量に依存しないポリマーの分離を行うことができ、多角的なポリマーの解析を行うことができます。 - 用いる移動相組成の選択とグラジエント条件調整が非常に重要なGPECの分離条件検討において、Nexera MethodScouting Systemを用いることで、メソッド開発を大幅に省力化、効率化することができます。

はじめに

高分子(ポリマー)材料において、その組成は材料の物性に大きく影響するため、研究開発から品質管理まで、組成の解析と確認が非常に重要です。このようなポリマーの中でも、共重合体(コポリマー)は複数の種類の単量体(モノマー)から構成されるポリマーとして知られ、分子を構成するモノマーの組成やその配列などの違いにより、材料としての特性も異なることが知られています。このことからコポリマーにおいて、その組成を把握し、単離することは重要です。 一般的に、ポリマーの分離手法としては、分子サイズに基づいて分離を行うサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)/ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)が用いられます。分子量により分離ができるため、分子量の分布などの情報を得ることができますが、同様の分子量で組成の異なるポリマーが混在する場合には分離を行うことはできません。このような場合、分子の大きさに依存することなく、ポリマーの組成の違いによって分離されるグラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(Gradient Polymer ElutionChromatography:GPEC)という手法が有用です。GPECは対象のポリマーが溶解しない移動相組成(貧溶媒)において試料を注入し、カラム先端など流路内で意図的に析出させ、その後移動相組成を対象ポリマーが溶解しやすい組成(良溶媒)にグラジエントして流路内で再溶解・溶出させる分離手法です。グラジエントに用いる溶媒への溶解性の違いにより分離ができるため、ポリマーの組成による分離を行うことができます。しかし、GPECでは分析条件が経験に基づいて検討されることが多いため、サンプルごとに分析条件の検討が必要になり、手間がかかります。 Nexera Method Scouting Systemは、メソッド開発用のシステムで、移動相の溶媒種とその組成、カラムなどの条件を自動で変更して分析条件を探索でき、メソッド開発業務を効率化することができます 。 本稿では 、 NexeraMethod Scouting System と専用ソフトウェア MethodScouting Solutionを用いて、GPECによる分析の条件検討を効率的に行い、コポリマーとその構成ホモポリマー(単一モノマーのみで構成されるポリマー)をGPECという分離手法により分析した例をご紹介します。

2022.03.10