低分子医薬品
作業環境測定におけるトリレンジイソシアネート(TDI)の測定
はじめに
平成7年3月27日に作業環境評価基準および作業環境測定基準の一部を改正する告示(平成7年労働省告示第26号、第25号)が公布され、平成7年10月1日(一部のものは平成8年10月1日)から適用されることになりました。 これらの改正内容の中でエチレンイミン、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、トリレンジイソシアネート(TDI)については、現行の分析方法に加えて新たに高速液体クロマトグラフ法(HPLC)が追加されました。 この中で需要の多いTDIは、ポリウレタンフォームの原料のほか、重合の架橋剤、発砲剤、塗料、接着剤、繊維、建材など重要な用途をもっています。人体に対しては、目および呼吸器系への影響、皮膚粘膜刺激性、炎症性が注意される物質であり、急性中毒の場合は、呼吸困難、ぜんそく発作を経て、肺炎、気管支炎を起こし、重症の場合は、心臓の衰弱によって死亡に至ります。現在、作業環境基準値は、5ppbに改正され、その十分の一である0.5ppbの測定が要求されています。今回紹介します島津作業環境(TDI)分析システムは、従来法(ジアゾ化-カップリング吸光光度法)と比較するとつぎのような利点があります。 1.高感度分析が可能。検出限界は、0.1ppb(気体採取量:10リットル)と高感度であるため、要求される感度を十分満足しています。 2.異性体の分離定量が可能。異性体(2,6-TDI、2,4-TDI)を分離して測定することができます。 3.サンプリング時間の短縮。高感度であるため必要採取容量は、10リットルあれば十分で、サンプリング時間が4分の1以下に短縮できます。 4.関連項目の分析。エチレインミン、3,3'-ジクロロ-4,4'ジアミノジフェニルメタンなどの項目も同じシステム(UV検出法)において簡単に定量できます。 ここでは、TDIについて標準試料およびTDI発生ガスサンプルの分析結果を紹介します。
2008.12.10