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はじめに

放線菌の菌体成分に基づく化学分類のうち、DNAの塩素組成の分析は、微生物分類学に不可欠であるばかりでなく、DNA交雑実験や類縁性検討の予備情報としても重要です。DNAの塩基組成は、AとT、GとCがおのおの等モルずつ存在することから、通常のGC含量としてGとCの合計のモル%で表示されます。この値は、よく確率された分類群においてかなり狭い範囲に収まるため、有用な分類指標になることが期待されています。しかし、GC含量の測定法として広く用いられてきた。Tm法と呼ばれるDNA二重ラセンの解離温度より求める方法では、分析精度が十分であるとはいえず、GC含量が菌株の同定や分類における決め手となる場合は多くありませんでした。そこで、近年になってHPLC法が注目されるようになってきました。HPLC法では、DNAを分解して得たヌクレオシドを直接定量するため、信頼性の高いデータを容易に得ることが出来ます。ここでは、放線菌のDNA塩素組成を逆相HPLCを用いて測定した例について、ご紹介します。

2008.06.02