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はじめに

放線菌の分類学的指標として、菌体メナキノン組成は重要です。また、メナキノン分子種の分布は、広く研究されており、属レベルの分類、同定において非常に有効な手法となっているだけでなく、新種属命名のとき、メナキノン組成の記載は、不可欠となっています。 メナキノン分子種の同定、組成比の決定には高速液体クロマトグラフィー(HPLC)が有効な手段として用いられています。 メナキノンとは2-methyl-3-multipreny-1,4-naphthoqinoneの構造をしており、イソブレン単位の数、イソプレン側鎖の水素飽和度、イソプレン側鎖の水素飽和度から分子種の違いが生じます。 現在のところ水素飽和の位置については分類学的評価が与えられていないので、当面考慮すべき指標としてはイソプレン単位の数、イソプレン側鎖の水素飽和度ということになります。これをMK-n(Hm)と表記します。nはイソプレン単位の数、mはイソプレン側鎖の飽和にかかわる水素原子の数を示します。 それぞれのメナキノン分子種は、構造の違いから、HPLCにより分離することが可能です。そこでメナキノン組成が既知の標準菌株を分析することで、各メナキノンの溶出時間がわかります。これをもとに未知菌体のメナキノン分子種を同定するとともに、各メナキノンの吸光度の比から組成比を知ることができます。

2008.06.02