一斉分析データベースソフトウェアを用いた食品中残留農薬の測定

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はじめに

GC/MSはGCに比べ分離能力も優れ信頼性の高い同定が可能なため,環境分野や食品分野などを中心に多成分を一斉に分析するために用いられています。しかしながら,測定には標準試料を用いた保持時間の確認や検量線の作成が必要です。標準試料の調製には多くの時間を要し,標準試料が入手困難な場合は測定できないなどの問題がありました。一方,様々な環境物質による汚染の度合いを確認したり,化学物質関連の事故や事件で原因を調べるには,できるだけ多くの成分を簡便かつ迅速に測定することが重要になっています。 このような要望にこたえるために弊社と北九州市環境科学研究所の研究グループは共同で環境分析向け一斉分析用データベースを開発いたしました。データベースには,Table 1に示しますように農薬をはじめとする有害物質583種について化合物名,マススペクトル,ターゲットマス,検量線(マルチ内標法)や保持時間(n-アルカン補正)など定量分析に必要なパラメータ類が登録されています。 データベースから分析したい化合物を選択し,定量のためのメソッドファイル(GCMS-QP2010用)を作成することができます。標準溶液の調製が不要になり,また入手困難なターゲット化合物でもその濃度のおおよその値を得ることができます。

2008.04.22

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