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食品・飲料
ベンチトップ GC/MS のイオン化法としては,電子衝撃イオン化(EI)法や正化学イオン化(PCI)法が広く用いられています。EI 法や PCI 法はガスクロマトグラフィーで分析可能な有機化合物を,ほぼ全てイオン化できる汎用的なイオン化法です。一方,ここでご紹介する負化学イオン化(NCI)法は電子親和性をもった化合物を選択的にイオン化する方法です。NCI 法は EI 法に比べ選択性が高く,しかも感度の高いイオン化法です。電子親和性の高い化合物の分析に通常用いられる GC-ECD と比較すると,感度はほぼ同等ですが,選択性については質量分離を行ために ECD より優れています。また,NCI 用イオン源はユーザでも容易にメンテナンスすることができます。 環境分析では EI 法が主に用いられています。EI 法で感度が不足する場合,サンプルを濃縮して EI-GC/MS で分析を行います。この方法では濃縮操作に手間がかかり、夾雑物もいっしょに濃縮されてしまい,目的成分の検出に影響を与えるおそれがあります。環境汚染物質である農薬や内分泌撹乱物質はできるだけ低い濃度まで測定することが望ましく,濃縮倍率を高くする必要があります。 これらの物質の内,電子親和性の高い塩素系化合物や有機リン系化合物については,NCI-GC/MS で分析することができます。NCI-GC/MS を使用すると,EI-GC/MSに比べて感度が向上し濃縮の倍率を下げることができ,また,目的成分を選択的にイオン化するため夾雑物の影響をおさえることができます。これらのことによって,低濃度のサンプルを正確に分析することができます。
2008.04.22