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はじめに

水道原水中に含まれる農薬の一部は,塩素処理により変化消失してしまうことがあります。有機リン系農薬は塩素により酸化され,主な反応生成物としてオキソン体が生じます。 このオキソン体も,元の農薬と同じく毒性があります。このため,塩素消毒などが施される浄水については,有機リン系農薬そのものが検出されなくてもオキソン体が存在する可能性があるため測定が必要です1)。本アプリケーションニュースでは,水質管理目標農薬のうち誘導体化処理の必要がない68農薬と有機リン系農薬のオキソン体5種の混合試料を測定し,特にオキソン体5種についての詳細データをご紹介します。 Table 1に農薬成分名と保持指標を示しました。測定はTable 2に示した分析条件にて行いました。Fig.1に100μg/L溶液のスキャン測定トータルイオンクロマトグラムを示しました。 各成分ピークのトップにTable 1と同様のピーク#を記しました。Fig.2にオキソン体5種各成分のマススペクトル,SIM測定マスクロマトグラム,検量線(10~1000μg/L)を示しました。SIM測定マスクロマトグラムは10μg/L溶液での結果を示しました。検量線は混合農薬のSIMによる一斉分析を行い作成したものを示しました。オキソン体農薬は元の農薬と比較すると測定感度は低下します。 高感度のQP2010 Plusでは多成分のSIM一斉分析においても,10μg/L溶液を検出することができました。

2008.04.22