環境
NCI マススペクトルライブラリーの有用性
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はじめに
近年,環境ホルモンなどの環境汚染物質の人体への影響が大きな問題となっています。特に,環境ホルモンは極めて微量でも人体へ作用すると考えられているため,より低い濃度まで測定することが望まれます。 負化学イオン化法(NCI法)はGC/MSのイオン化法の一つで,その特長は選択性と感度に優れている点です。電子親和性の高い化合物には,通常使用される電子衝撃イオン化法に比べ約10~100倍の感度向上がはかれます。また,目的成分を選択的にイオン化することができるため,夾雑物の影響を軽減することも可能です。したがって,NCIは微量成分の定量にさまざまな分野で用いられるようになってきました。 一方,NCIのマススペクトルはフラグメントイオンの種類が少なく単純であり,化学イオン化法であることから,測定条件に依存しやすいと考えられていました。したがって,同定能力に関してはあまり評価されておらず,そのマススペクトルデータベースも存在していませんでした。 しかし,NCIマススペクトルの測定条件への依存性を検討した結果,NCIマススペクトルデータベース(ライブラリー)が十分定性に応用できることが明らかになりました。今回のアプリケーションニュースではその検討内容に関してご紹介します。
2008.04.22