GC-MS を用いた工場排水中のアルキル水銀 (Ⅱ) 化合物の定量

ダウンロード

はじめに

高い毒性を有するアルキル水銀化合物は、脂溶性のため生物濃縮を受けやすく、これらが人体に高濃度で摂取されることにより、中枢神経障害が引き起こされます。アルキル水銀化合物の一種であるメチル水銀は、工場から海水に排出された後、食物連鎖により魚介類に蓄積され、高濃度で人体に摂取されたことで水俣病の原因となりました。また、エチル水銀についても同等の毒性を有することが知られているため、メチル水銀とエチル水銀の総和としてアルキル水銀化合物が排水基準に設定されています。 “JIS K 0102 工場排水試験方法”が 2019 年 3 月 20 日に改正され、66. 2 アルキル水銀 (II) 化合物の試験方法に”ガスクロマトグラフィー質量分析法”が追加されました。従来のガスクロマトグラフ法の定量範囲は、0.5 μg(Hg)/L 以上、GC/MS 法は、0.2~10 μg(Hg)/L と記載されています。 当該方法では、これらアルキル水銀 (II) 化合物をテトラフェニルほう酸ナトリウムによって誘導体化(フェニル化)後、トルエンで抽出を行うため、工場排水中のアルキル水銀(II) 化合物を高感度かつ選択的に定量することができます。 本報では、追加された GC/MS 法に従い、また、参考文献を参考にして工場排水中のメチル水銀およびエチル水銀の分析について検討を行いました。

2020.03.16

関連製品

一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。

関連分野