トリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計を用いた河川水中のノニルフェノールの高感度分析

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はじめに

ノニルフェノール (NP)は,界面活性剤の製造原料やゴムおよびプラスチックの酸化防止剤などに用いられてきましたが,近年,環境中で内分泌かく乱作用を引き起こす可能性がある物質(環境ホルモン)に指定されました。 NP は,アルキルフェノール類の一種で,理論上 211 種の異性体が存在します。その中でも,ノネン(プロピレンの三量体)とフェノールの反応により生成される主成分は分岐型4-NP です。 そのため,分岐型 4-NP の 13 異性体が,2012 年 8 月に “ 環境基本法に基づく水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準 ” のうち,“ 水生生物の保全に係る環境基準項目 ” に追加されました。分析方法は固相抽出―ガスクロマトグラフ―質量分析法が採用されました。定量方法は,① 4-NP 標準品(混合物)に含まれる 13 異性体の組成比を求め,②各異性体の検量線を用いて検出された個々の異性体の濃度を算出し,③それぞれの異性体にその組成比を乗じて積算します。 しかし,異性体別にガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)を用いて測定すると,分析カラムや装置感度などの影響により,組成比の低い 12 番目の異性体のピークを検出することが難しい場合があります。 本報では,m/z における選択性が高いトリプル四重極型ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS/MS)を用いて河川水中のノニルフェノールの分析について検討を行いました。 MS/MS の分析条件を最適化することで,GC-MS では測定が難しい 4-NP の 13 異性体を高感度で選択的に検出できました。また,夾雑物を多く含む河川水中の NP 分析において,回収率の低下が懸念されるクリーンアップ手順を省略しても,同定精度を損なわずに分析することができました。

2014.09.26

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