熱分解(熱脱着)-GC-MSを用いた樹脂中PIP(3 : 1)の分析

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ユーザーベネフィット

- 熱分解(熱脱着)-GC-MS(Py/TD-GC-MS)法は有機溶媒を使用せず、簡便な操作で樹脂中PIP(3 : 1)を分析できます。 - Scan/SIM 高速切り替え測定(FASST)により、PIP(3 : 1)を高感度モードで分析しながら、その他に使用されている添加剤の定性解析を行えます。 - 高分子添加剤ライブラリを用いることで、添加剤の定性解析に要する時間を大幅に短縮できます。

はじめに

フェノール、イソプロピルリン酸(3 : 1)(PIP(3 : 1))(CAS登録番号:68937-41-7)は、イソプロピル化された3つのフェニル基を持つリン酸化合物です。可塑性や難燃性を付与する目的でポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタンなどの樹脂材料に使用されています。他にも耐摩耗性や耐圧縮性を付与することもでき、油圧作動油や潤滑油、コーティング剤、接着剤、シール剤といった様々な材料に使用されています。 一方、米国環境保護庁(U.S. EPA)は、有害物質規制法(TSCA)の第6条h項に基づき、PIP(3 : 1)を難分解性・生物蓄積性・有毒性のすべてに該当する化学物質(PBT物質)の一つに位置付け、当該物質を含有する製品や成形品の国内での製造や商取引の規制を開始しました。 熱分解(熱脱着)-GC-MS(Py/TD-GC-MS)は、国際規格IEC 62321-8にも採用されており、溶媒抽出GC/MS法のような多量の有機溶媒が不要なので、環境や分析オペレーターに優しい装置として現在、注目されています。今回、樹脂中PIP(3 : 1)をPy/TD-GC-MSで分析できることを確認しましたのでご紹介します。

2021.06.17