アレルゲン物質の検出

アレルゲン物質の検出

マイクロチップ電気泳動装置によるアレルゲン物質の検出

 日本では世界に先駆けてアレルゲン物質を含む食品の表示制度が導入されています。平成13年4月よりアレルゲン物質を含む食品の表示が義務化され,平成20年6月には「えび」と「かに」の2品目がアレルゲン物質として追加されました。表示による消費者への情報提供は,アレルゲン物質による健康危害を未然に防ぐことを目的としています。したがって,極微量であっても特定原材料を含有もしくは混入している場合は,その事実を明示する事が求められます。
 定性PCR法による検出が可能な特定原材料は小麦,そば,落花生,えび,かにの5種類です。
 ここでは厚生労働省通知法に準じた方法(厚生労働省通知「アレルギー物 質を含む食品の検査方法について」平成21年7月24日 食安発第0724第1号) により抽出したDNAを鋳型としてPCRによりアレルゲン物質関連遺伝子を増 幅しました。これらをDNA/RNA分析用マイクロチップ電気泳動装置 MCE-202 “MultiNA”により検出した例をご紹介します。

<分析方法>
DNAの抽出方法とPCRの条件は, 厚生労働省通知「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」平成21年7月24日 食安発第0724第1号に従って行いました。小麦,そば,落花生,えび,かにがそれぞれ含まれる食品からDNAを抽出しました。
抽出は「イオン交換樹脂タイプキット法」で行いました。 DNAの精製度の確認と定量は島津ライフサイエンス分光光度計“BioSpec-nano”を用いて行いました。

【 試薬/キット 】

DNA-500 Reagent Kit
SYBR® Gold nucleic acid gel stain
25bp DNA ラダー
QIAGEN Genomic-tip 20/G
                    
【 PCR産物分析条件】
分析装置 MCE-202 "MultiNA"
分析モード DNA-500オンチップモード

 小麦,そば,落花生,えび,かにを含む食品由来のDNAからのPCR増幅物をMultiNAで分析した結果を下図に示します。小麦,そば,落花生,えび,かにそれぞれに由来するPCR増幅物がMultiNAによって明瞭に検出することができました。(図中のサイズ推定値は本実験によるものです。厚生労働省通知法では小麦,そば,落花生,えび,かにからPCRによって増幅されるDNAのサイズはそれぞれ 141 bp,127 bp,95 bp,187 bp,62 bpとされています。)
 対象にMultiNAで分析したものと同じサンプルをアガロースゲル電気泳動で分析した結果を【参考】に示します。アガロースゲル電気泳動ではPCR増幅物のサイズが不明確で客観性に乏しい結果となってしまいます。しかしながら MultiNAではエレクトロフェログラムに加えてゲルイメージとして結果が得られるのでデータとしての確証も高いものとなります。また,小麦とそば増幅産物は近接しております。MultiNAによるアレルゲン分析はアガロースゲル電気泳動と比べて分解能と感度が優れておりますので,アレルゲン物質を明確に検出することが可能です。

アレルゲン物質の分析結果

アレルゲン物質の分析結果

アガロースゲル電気泳動によるアレルゲン物質の分析結果

【参考】アガロースゲル電気泳動によるアレルゲン物質の分析結果

DNA/RNA分析用マイクロチップ電気泳動装置

マイクロチップを用いた電気泳動法により,DNAやRNAのサンプルを大きさによって分離し,DNAやRNAの核酸サンプルのサイズ(大きさ)確認やおおまかな定量を行います。マイクロチップを用いることによって電気泳動分離を高速に,蛍光検出により高感度に,しかも全自動で分析することができる電気泳動装置です。



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