UV TALK LETTER vol.5(2010) アプリケーション =日射透過率・日射反射率測定=

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地球温暖化が話題になる中,より環境に負荷がかからない生活が重要視されてきています。例えば太陽電池やハイブリッドカーの開発など,様々な分野において,エネルギー利用効率を高める為の研究が進められています。建屋内の冷暖房の効率を高めるための工夫もされ,その一つとして,可視光は透過させ赤外光の透過を抑えることのできる窓ガラスや遮へいフィルム, また赤外光を反射させる屋根・屋上用塗料に関する開発が行われています。
これらの性能を評価する測定方法および算定方法がJISに規定されており,JIS R3106には板ガラスに関して,JIS A5759には建築用窓ガラス用フィルムに関して,JIS K5602には塗膜に関して示されています。今回はJIS R3106に準じた板ガラス類に関する各種測定法を紹介します。

1. JIS R3106 板ガラスの透過率・反射率・ 放射率・日射熱取得率の試験方法

JIS R3106には板ガラスの特性を示す指標として,可視光 透過率,可視光反射率,日射透過率,日射反射率,垂直放射 率などの測定方法および算定方法が規定されています。 ここでいう日射とは,大気圏を透過して地上に直接到達する 近紫外,可視及び近赤外の波長域300~2500nmの放射 をいいます。また可視光とは,視器官を通して視感覚を起こす ことが出来る波長380~780nmの放射をいいます。

2. 可視光透過率,可視光反射率

可視光透過率(τv),可視光反射率(ρv)とは,ガラス面に垂直 に入射する可視光の光束について,透過光束もしくは反射 光束の入射光束に対する比をいいます。 波長範囲380~780nmにおいて紫外可視分光光度計に 積分球を用いた透過測定もしくは反射測定により得られる 分光透過率(τ(λ)),分光反射率(ρ(λ))から式(1),(2)により 計算されます。Dλ・Vλは可視光透過率と可視光反射率を 算出するための重価係数でJIS R3106に記載されています。

3. 日射透過率,日射反射率

日射透過率(τe),日射反射率(ρe)とは,ガラス面に垂直に 入射する日射の放射束について,透過放射束もしくは反射 放射束の入射放射束に対する比をいいます。 波長範囲300~2500nmにおいて紫外可視近赤外分光 光度計に積分球を用いた透過測定もしくは反射測定により 得られる分光透過率(τ(λ)),分光反射率(ρ(λ))から式(3), (4)により計算されます。Eλ・Δλは日射の標準スペクトル分 布を示す重価係数でJIS R3106に記載されています。

4. 垂直放射率(IR測定)

垂直放射率(εn)は,赤外分光光度計に正反射測定用付属品を用いた正反射測定により,2000~400cm-1の赤外領域での分光反射率(ρn(λ))を測定し,指定された30波長の反射率を用いて式(5)より反射率ρnを計算後,式(6)より算出されます。

分光反射率(ρn(λ))の測定は,常温の熱放射の波長域5~ 50μm(波数2000~200cm-1)のうち,少なくとも5~ 25μm(波数2000~400cm-1)の範囲を分解能4cm-1以下で行ないます。検定済み表面鏡がない場合はJ I S R3106に記載されている標準反射率の値を用います。なお, 測定波長が50μm(200cm-1)に達しない場合は,測定 した上限波長での分光反射率の値をそれ以上の波長における 値として用います。

5. 実測例

市販の板ガラス4種類に対し可視光透過率,可視光反射率, 日射透過率,日射反射率および垂直放射率を求めました。 各種測定条件をTable1にまとめます。Fig.1にガラス試料 を積分球に設置した図を示します。また,紫外可視近赤外領 域の透過スペクトルと反射スペクトル(標準試料の絶対反射 率で補正),赤外領域の反射スペクトルをそれぞれFig.2,Fig.3, Fig.4に示します。測定した試料は透明ガラス1種類と遮光性 ガラス3種類です(緑:透明ガラス,黒:遮光ガラス1,赤:遮光 ガラス2,青:遮光ガラス3)。Fig.2,Fig.3,Fig.4より,今回 測定した試料は紫外可視近赤外領域では透過率,反射率と もに大きな違いを示していますが,赤外領域の反射率はほぼ 同様であることがわかります。 Table 2に算出した各試料の可視光透過率,可視光反射率, 日射透過率,日射反射率および垂直放射率を示します。可視 光透過率,可視光反射率,日射透過率と日射反射率の計算は Fig.5に示す日射透過率測定ソフトウエアを用いると,簡便 に測定結果が得られます。垂直放射率の計算は市販の表計算 ソフトウエアを用いて行いました。

Table1 測定条件
Table1 測定条件
Table2 実試料の計算結果
Table2 実試料の計算結果
Fig. 1 試料を積分球に設置した様子( 透過測定時)
Fig. 1 試料を積分球に設置した様子
( 透過測定時)
Fig. 2 紫外可視近赤外領域の透過スペクトル
Fig. 2 紫外可視近赤外領域の透過スペクトル
Fig. 3 紫外可視近赤外領域の反射スペクトル
Fig. 3 紫外可視近赤外領域の反射スペクトル
Fig. 4 赤外領域の反射スペクトル
Fig. 4 赤外領域の反射スペクトル
Fig. 5 日射透過率ソフトウエア
Fig. 5 日射透過率ソフトウエア

6. 最後に

日射測定関連のJISは板ガラスに関するJIS R3106以外に, 建築用窓ガラス用フィルムに関するJIS A5759,塗膜に関する JIS K5602があります。今回はJIS R3106に関する解説を 行いましたが,その他二種に関しては次号で説明いたします。 JISによる計算は市販の表計算ソフトウエアで行うことも出来 ますが,専用のソフトウエアを使用することにより,簡便に 計算結果を得ることができます。近年の需要に対応すべく, Fig.5に示すような『日射透過率ソフトウエア』も用意して いますので,是非ご利用下さい。 これらの日射透過率・日射反射率に関しては,下記の島津アプリ ケーションニュースもご参照下さい。
島津アプリケーションニュースNo.A396
 『板ガラスの日射透過率測定』
 島津アプリケーションニュースNo.A404
 『JIS R3106に沿った板ガラスの測定』
 島津アプリケーションニュースNo.A412
 『JIS A5759に沿った建築窓ガラス用フィルムの測定』


(関連情報) 日射透過率・日射反射率測定=その2=

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