MS50周年記念特設サイト - ユーザーインタビュー 2020年12月号

島津MS製品のユーザー様の声を集めました。世界中の皆様からのメッセージをインタビュー形式でご紹介いたします。

Swati Guttikar

Swati Guttikar
Head, Lab Operations, Bioanalytical Research,
Veeda Clinical Research Pvt Ltd., India

主な研究分野
バイオアナリシス

1. 島津製作所をお知りになったきっかけを教えてください。

2005年に私たちのラボにLC-MS装置を導入することになったとき,フロントエンドには私たちの期待すべてを満たす島津のHPLCを選択しました。それ以来,島津のLCシステムは私たちの装置群の最前線であり続け,優れた再現性,安定性と操作性を示してきました。超高速液体クロマトグラフのおかげで,分析のスピードとデータの信頼性がともに向上し,ラボの生産性が大幅に向上しました。
その後,2012年に島津のUFMSトリプル四重極技術を評価して以来,私たちのバイオアナリシス部門には多くの島津LCMSを導入してきました。

2. ご自身の研究分野をご紹介ください。また,どういった用途で島津製作所の分析装置をご使用いただいていますか?

私たちの主な研究分野は,健常者と患者を対象とした臨床試験で得られたヒト血漿試料の分析を行うバイオアナリシスです。私たちのラボでは,低分子および高分子の定性・定量分析において島津のHPLCとLC-MS/MSを使用しています。

3. 島津製作所の装置を採用いただいている理由をお聞かせください。

島津の装置は堅牢性に優れており,世界最高レベルの感度と検出速度を備えています。また,アフターサービスもテクニカルサポートも素晴らしいのです。

4. ご自身の研究分野における,質量分析技術の動向やトレンドについて教えてください。

液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC-MS/MS) は,試料中の化合物の同定と濃度を正確に測定できる,定量および定性分析の最先端を走る非常に高感度でユニークな分析技術です。質量分析計の分析速度と性能は最高の分析結果を保証しており,すべての研究や分析ラボにとって不可欠な存在となっています。質量分析計は,分析試験ラボ,バイオ分析ラボ,食品試験ラボ,農業試験ラボや健康食品を開発するための食品研究ラボなど,広い分野で使用されています。食品品質管理ラボに設置されている質量分析計は,栄養成分の確認や表示の検証に広く使用されています。健康食品や栄養機能食品に対する需要が増加するにつれて,食品メーカーは食品偽装や異物混入物のリスクを減らし,ブランド品質を維持するために,選択性,感度と頑健性に優れた質量分析技術のような分析技術を有することが重要です。

5. 島津製作所や質量分析技術の発展に関して,どのようなことを期待いただいているでしょうか。

島津は人工知能(AI)および装置への応用において多くの進歩を見せています。将来的には,装置の自己診断,自己最適化,自己完結機能が実現され,バイオ医薬品の開発で直面している課題への解決を支援する高品質のデータが提供されることを期待しています。
今後,より堅牢な装置および直感的に操作できるソフトウェアプラットフォームが実現できればと考えています。もちろん,検出限界がさらに改善されるのは歓迎です。これは,より高い信頼性のある高感度な定量分析と前処理の手間を減らすことによるスループットの向上に役立ちます。

正確度,精度および感度に優れるトリプル四重極質量分析計を使って,インタクトな生物学的製剤を分析する能力が必要不可欠です。次の10年の新時代には高分解能質量分析計による生物学的製剤の分析が必要になり,それが広く好まれる機器分析手法となります。高分解能質量分析計を使ってインタクトな生物学的製剤を分析する際,より高い感度と精度を実現するため,更なる技術の向上が必要です。これらの分子の多くは,バイオアナリシスのためにカスタマイズする必要があり,LC-MS/MS法を補完するリガンド結合法がゴールドスタンダードになるのでしょう。

製薬業界では,ますます複雑で異なる結合様式の分子を開発しています。これらの分子の挙動を理解するためには,in-vivo薬物動態及び代謝物の構造特徴の高感度な分析が不可欠です。自動化されたアッセイシステムと迅速な消化用生成物による結合効率のさらなる改善を期待しています。これらの進歩は感度と分解能に集約され,高分子量タンパク質のためのクロマトグラフィーソリューションの改善と低流量での試料導入の改善と相まって,生物学的製剤開発を支援するための研究とイノベーションに貢献する分析技術の枠組みを押し広げるでしょう。

メタボロミクスと質量分析の組み合わせは,代謝物におけるバイオマーカーの探索と同定に非常に重要です。バイオマーカー探索のために,メタボリックプロファイリングとメタボロミクス研究におけるLC-MS/MSの可用性は必要です。現在のメタボロミクスおよびメタボリックプロファイリング研究はほぼ完全に1H NMR,GC-MSおよびLC-MSに依存しています。これは,装置技術の成熟度,個々の装置の分野での進歩,および装置業界がこれらの三つのアプローチによって結果を出せる可能性を提供しているからです。質量分析ツールによってライフサイエンスの探索的研究はさらに拡大し発展するでしょう。

Swati Guttikar

Swati Guttikar