MS50周年記念特設サイト - ユーザーインタビュー 2020年3月号

島津MS製品のユーザー様の声を集めました。世界中の皆様からのメッセージをインタビュー形式でご紹介いたします。

Pierre Marquet, MD, PhD

Pierre Marquet, MD, PhD
Head of the pharmacology and toxicology department at the University Hospital of Limoges, France.

主な研究分野
血中薬物モニタリング(TDM),臨床毒性学。

1. 島津製作所のことをお知りになったきっかけを教えてください。

私は島津の分析装置を長年使用してきました。HPLCは30年以上,GC-MSは約20年,そしてLC-MS/MSは5,6年前から使用しています。

2. ご自身の研究分野をご紹介してください。また,どういった用途で島津製作所の分析装置をご使用いただいていますか?

私たちの主な研究テーマは臓器移植患者における個別化医療です。具体的には,患者の状態を改善するために,生物流体(biofluid)中の薬物または毒物を測定するための分析技術を確立してきました。エビデンスが弱い状況では,化合物投与による薬物動態や毒性動態,および暴露効果との関係を調べるために,臨床試験を繰り返し行っています。そのため,血液,尿,唾液や毛髪などに含まれる数百種類の治療薬,乱用薬物や環境毒性化学物質の検出,同定と定量に島津の装置を使用しています。

3. 島津製作所の装置をご採用いただいている理由をお聞かせください。

島津装置の品質,堅牢性およびコストパフォーマンスに大変満足しています。また,効率的なアフターサービスも私たちにとっての重要な資産と考えています。

4. ご自身の研究分野における,質量分析技術の動向やトレンドについて教えてください。

LC-MS/MSは汎用性,感度,選択性,そして多様な性質,極性,質量を持つ分子との適合性に優れるため,TDM(Therapeutic Drug Monitoring)や臨床毒性学の研究において世界中で最も重要な技術となっています。現在は,サンプル前処理を自動で最適化し,質量分析技術の高速分析能力を最大限に活用することがトレンドになっています。また,多数の異なる化合物の分析結果を報告できるように,そして,1名または少数の患者の緊急時の分析結果(例えば自家中毒の場合)を報告できるように,十分な数の装置を用意すること(または装置稼働の最適化)が課題として残っています。GC-MSはほとんどが揮発性化合物の分析に用いられています。

5. 島津製作所や質量分析技術の発展に関して,どのようなことを期待いただいているでしょうか。

LC-MS/MSにオンラインマルチプレックス(または高速)サンプル調製システムをつなげると,薬剤の同定を合理化し,分析の変動性と応答時間を最小化することができます。長期的には,MSは完全に自動化されたコアラボ内の分析装置の一部になります。しかし,このような統合された質量分析装置がスタンドアローン機(および専門家)に完全に取って代わることはありません。なぜなら,治療薬,乱用薬物や農薬が継続的に進化するためには,常にレファレンスラボや中央ラボにおける新しい技術の開発と検証が必要とされているからです。そのような使用目的において私が期待しているのは,開発者と分析者が異なる状況においても,新しい分析物の分析条件を最適化したり,自働的に装置とメソッドをチェックしたり,長期間の臨床分析における分析法バリデーションをサポートしたりすることができる,包括的でユーザーフレンドリーなソフトウェアです。

 

*記事中に記載されている装置は,医療品医療機器法に基づく医療機器として承認・認証等は受けおりません。治療診断目的およびその手続き上での使用はできません。