熱分析の基礎|2章 DSCとは?

DSCとは?

示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)

試料温度をプログラムに従って変化させながら,基準物質と試料の温度を測定し,その温度差から熱量を測定する装置です。

 
測定対象

融解,ガラス転移,結晶化,硬化反応,熱履歴の検討,比熱
 

DSCの原理 

1.

加熱炉を昇温させると,加熱炉温度の変化にやや遅れてサンプルと基準物質も加熱します。

 
2.

サンプルの融解が始まると,サンプルの温度は上昇しなくなります。(融解に熱が使われるため)一方,基準物質の温度はサンプルの融解に関わらず,1.と同様に上昇します。

 
3. 

融解終了後,サンプル温度はまた加熱炉温度に追従して上昇します。

 
4.

(サンプル温度)ー(基準物質温度)がDSC信号に相当します。

DSCのデータ例

PET(高分子)のDSC曲線

高分子材料の持つ熱的性質や機械的特性は,その試料が受けた熱履歴によって変化することが知られています。上記は高分子であるPETを加熱後,急冷したものをDSCで測定した結果です。

DSC曲線を見ますと,77℃付近にベースラインのシフトが見られます。これは「ガラス転移」を示しています。130℃付近に発熱ピークが見られます。これは「結晶化」による発熱を示しています。
250℃付近に見られる吸熱ピークは,「融解」による吸熱を示しています。ガラス転移後に結晶化,その後融解が観測されていることから,この試料は加熱後に急冷したことによりほとんど結晶化せず,非晶質状態であった,ということがわかります。

このように,DSC(示差走査熱量計)で測定を行うことにより,物質の熱履歴を確認することが可能となります。

 

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