温度変調DSCシステムを使ったアプリケーション

高分子材料におけるガラス転移点の観測や,融解直前に起こる再結晶化の観測,擬等温測定での比熱測定など,従来型DSC測定では難しかった測定が可能となります。

耐衝撃性ポリスチレンの熱流の分離

耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の温度変調DSC測定の結果です。
従来型のDSC測定では,80 ℃付近でガラス転移とエンタルピー緩和が重なったデータになります。
温度変調測定を行うと,DSC(reversing)にガラス転移,DSC(non-reversing)にエンタルピー緩和が現れ,両者を分離することができます。
このように,ほぼ同じ温度で起こる現象は,従来型のDSC測定では信号が重なり解析が困難ですが,温度変調DSCを行うことで可逆成分と不可逆成分に分けて信号を取り出すことができます。

ポリエチレンテレフタレートの熱流の分離

ポリエチレンテレフタレート(PET)の温度変調DSC測定の結果です。
従来型のDSC測定では,75 ℃付近でガラス転移とエンタルピー緩和が重なったデータになります。
温度変調測定を行うと,DSC(reversing)にガラス転移,DSC(non-reversing)にエンタルピー緩和が現れ,両者を分離することができます。
また,115 ℃付近の結晶化による発熱ピークはDSC(non-reversing)のみに見られます。200 ℃以降,DSC(non-reversing)に発熱が見られることから,融解時に再結晶化が同時に起こっていることがわかります。

エポキシ系樹脂接着剤のガラス転移・硬化反応

エポキシ系樹脂接着剤の混合液の温度変調DSC測定の結果です。
2液性のエポキシ系樹脂接着剤を混合後,室温で放置した後に温度変調DSC測定を行いました。
従来型のDSC測定では,35 ℃付近でガラス転移とエンタルピー緩和の吸熱ピークが重なったデータになります。
温度変調測定を行うと,DSC(reversing)にガラス転移,DSC(non-reversing)にエンタルピー緩和が現れ,両者を分離することができます。
また,90 ℃付近の硬化による発熱ピークはDSC(non-reversing)のみに見られます。

エポキシ樹脂系接着剤の擬等温測定

エポキシ樹脂系接着剤の擬等温制御による温度変調DSC測定の結果です。
擬等温制御とは,一定温度に保持する等温制御に変調成分を加えた温度制御です。
温度変調DSC測定では,比熱を時間の関数として求めることができるため,一定温度下で進行する化学反応などに伴う比熱の経時変化を見ることができます。これは,従来型DSCの比熱測定ではできなかった測定です。
接着剤を100 ℃の擬等温下で保持したところ,測定直後から硬化反応による発熱が見られました。
一方比熱のデータを見ると,発熱反応の後,比熱変化が緩やかな減少に転じていることが確認できます。このことから,エポキシの硬化に伴って,ガラス化が起こっていることがわかります。

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