クモの糸の形状観察と粘着性評価

SPM/AFM Solutions Plaza

走査型レーザー顕微鏡(LSM)および走査型プローブ顕微鏡(SPM)は生物がもつ微細な構造を捉え、高粘着性・高延伸性の分子の物性を評価できます。

LSMによる形状観察

クモの糸は、高粘着性の横糸と、低粘着性の縦糸からなり、クモ自身が移動するときは低粘着性の縦糸を伝って歩くことが知られています。
クモの糸の様子を、LSMを使って観察しました。

クモの糸をガラス板上に保持して観察しました。
横糸に何かがついているのがわかります。

横糸の部分を拡大しました。
横糸には粘球がついているのがわかります。

粘球の部分を拡大して観察しました。

粘球のサイズ計測

幅の測定

幅の測定 空中に保持して観察しました

高さの測定

高さの測定

sample

サイズ計測の結果、粘球は上の図のような形状をしていることがわかりました。

SPMによるフォースカーブ測定

クモの糸と粘球の物性測定を、SPMのフォースカーブ測定で行いました。

クモの糸のフォースカーブ測定

クモの糸のフォースカーブ測定

クモの糸には、ほとんど粘性はありませんでした。

粘球のフォースカーブ測定

粘球のフォースカーブ測定

まとめ

LSMによる観察で横糸には数珠状の粘球が認められ、サイズ計測によって粘球はほぼ完全な球体であることがわかりました。
この糸と粘球の物性測定をSPMのフォースカーブ測定で行ったところ、糸の粘着性・延伸長は約0.04μmに対し、粘球のそれは約120µmを示しました。
これは粘球が6倍以上延伸したことになり、粘球分子は高粘着性と高延伸性であることが分かります。

引用元:
東京都立多摩科学技術高等学校 科学研究部 文部科学省 平成25年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会 ポスター発表賞
「クモの糸の可能性探求 ~ミクロ観察とスペクトル 比較~」

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