分離度のはなし その1

分析基礎

LCtalk81号入門

● 分離度とは?

分離度(Resolution,R またはRs)は,あるピークが隣接するピークからどの程度分離しているかを示すものです。今,図1 に示す2つのピークがある時,分離度は(1)式あるいは(2)式のように表されます。

隣接する2 つのピーク

図1 隣接する2 つのピーク

(1)式からは,分離度が2 つのピークの保持時間の差を各ピーク幅の平均で除したものであることがわかります。ガウス分布ピークでは,ピーク幅W =4 σ(σ:標準偏差),ピーク半値幅W0.5h =2.354σ ですから,(1)式より(2)式が導けます。日本薬局方およびJIS 高速液体クロマトグラフィー通則では,分離度は(2)式で定義されています。

●分離度とピークの分離状態

分離度は,「0.8」,「1.0」,「3.0」などといった数値 で表されますが,では分離度が示す数値と実際のピーク の分離状態はどのようなものなのでしょうか?分離度が 「1.0」の場合,2 つのピークがガウス分布でありピーク 高さ,ピーク幅が等しいとするなら,(1)式より保持時間の差が「1.0W」すなわち「1.0×4σ=4σ」となります。 ガウス分布では,4 σの中に95.4 % が含まれますので, これは互いに2.3 %[(100 % - 95.4 %)/2]が重な り合った状態(谷間に垂線を引くと2.3 % が相手ピー ク側にはみ出した状態)ということになります。同様に 分離度「1.5」では,保持時間の差が「1.5×4σ=6σ」 なので,重なりは0.15 %[(100 % - 99.7 %)/2] となります。(図2) なお,日本薬局方においてピークの完全分離とは,「分 離度1.5 以上を意味する」とされています。

分離度と分離状態

図2 分離度と分離状態

● 分離度と分離係数,保持係数,理論段数

2 つのピークの分離状態を評価する指標には,分離度 の他に分離係数(Separation factor,α)があります。 分離係数は,保持係数(Retention factor,k)の比と して(3)式のように定義されます。

分離度は,分離係数,保持係数および理論段数(N)を用いて,(4)式のように表すことができます。

[参考文献]

1)第十六改正日本薬局方

2)JIS K0124:2011 高速液体クロマトグラフィー通則
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