リサイクル分取のはなし -その2-

分析基礎

LCtalk 77号 INTRO

 前回は,リサイクルの方式として「クローズドループリサイクル」と「オルタナティブリサイクル」をご紹介しましたが,今回は一般に広く用いられる「クローズドループリサイクル」(図1)について,留意点などをご紹介します。

図1. クローズドループリサイクル

図1. クローズドループリサイクル

●カラム外拡散とは?

 リサイクル分取はカラムを通した対象成分を再度ポンプ,インジェクタを通してカラムに負荷することにより,カラムを複数本連結したような分離向上効果を期待するものです。もし,この効果があらゆる場合で得られるなら問題ありませんが,現実的には一定の条件を満たさなければリサイクルによる分離向上は望めません。そのカギを握るのがシステムの「カラム外拡散」です。カラム以外の流路系の余剰体積が原因で試料バンドが拡散(カラム外拡散)すると,ビーク幅の増大が分離の低下を引き起こします。このため,カラム外拡散の大きなシステムを用いた場合,リサイクルを行っても,ピーク頂上の保持時間の差は拡大するもののピーク間の分離は改善されない状態になります。(図2)

●リサイクル分取の留意点

 カラム外拡散をコントロールして,リサイクル効果を高めるために留意すべきポイントは以下の通りです。

  • マニュアルインジェクタのハンドル位置は,注入後LOAD 位置にしてループを流路から除くようにする。オートサンプラ(SIL-10AP)の場合は,前処理プログラムで高圧バルブ位置をLOAD に固定する。
  • ポンプの非吸引時間が長いと,リサイクル戻り液が移動相びんの方向に逆流するので拡散が大きくなる。このため,直列デュアルプランジャより非吸引時間の短い並列ダブルプランジャ形式(LC-20AP やLC-6AD)が望ましい。
  • ラインフィルタなども低容量タイプに交換する。配管類の耐圧の許容範囲を勘案して小径化する。LC-6AD の場合は,必ずリサイクルキットを装着して使用する。

図2 逆相リサイクル分離におけるカラム外拡散の影響

図2 逆相リサイクル分離におけるカラム外拡散の影響
分析条件
  • カラム:Shim-pack PREP-ODS(H)kit(内径 20 mm,長さ 250 mm)
  • 温度:室温
  • 移動相:0.1% 酢酸/ アセトニトリル=35/65 (v/v)
  • 流量:19 mL/min
  • 注入量:200 μL( 試料濃度各 0.1vol.%)
  • 検出:UV 254 nm
  • 余剰体積がカラムサイズに対して相対的に小さくなるように,内径20 mm 以上のカラムを用いる。
  • 分離に関与するピークの理論段数は保持の長さが影響するので,ある程度保持の大きな分離条件を設定する。システムの余剰体積によるが,おおよそ保持容量として,LC-6AD の場合,35 mL 以上を目安とする。

●リサイクル分取の応用例

  図3 にリサイクルバルブを操作して,主成分中の微量成分(iso - プロピルパラベン)の溶出部だけをリサイクル分離し,分取可能な分離を達成した例をご紹介します。
 このように,リサイクル分離の特性を知り,特長を活かせば,分取の可能性を拡げることができます。

(Wa)

図3 微量成分の部分リサイクルによる分離向上

図3 微量成分の部分リサイクルによる分離向上

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