陰イオン分析用カラム Shim-pack IC-A3の取扱いについて

分析基礎 イオンクロマトグラフ関連

Shim-pack IC-A3/IC-A3(s)を長期に亘って使用しますと,ピークの拡大や変形が認められることがあります。 これは多くの場合,カラム内での細菌(カビ)の繁殖や充填剤の部分的ストレスが原因です。 もし,このような現象が現れた場合は次のような洗浄を試みてください。 また,そのような現象が起きないようにするために,下記の事項に留意してください。

1.洗浄方法

  1. カラムを逆方向に接続し,洗浄液を通常の1/2の流量(IC-A3の場合:0.5mL/min)で約1時間送液して,カラムを洗浄します。
    洗浄液:100mM過塩素酸ナトリウムを含む20mMりん酸(ナトリウム)緩衝液(pH 2.5)とエタノールの混合液(1/2, V/V)
    過塩素酸ナトリウム一水和物(MW:140.46) 1.4g,りん酸(85%) 68μLおよびりん酸二水素ナトリウム二水和物(MW:156.01) 156mgを水に溶解し,全量を100mLにします。 この溶液100mLとエタノール200mLを混合します。
  2. カラムを順方向に接続し,移動相を通常の1/2の流量で約10分間送液して洗浄液をカラムから除去します。ただし,洗浄後に継続してカラムを使用しない場合はこの操作は次の使用時に行います。 洗浄が終わりましたら,そのまま装置から取り外し,プラグで封管して保存します。

2.留意事項

  1. 調製した移動相および試料は必ずメンブランフィルター(孔径0.22μm)でろ過してください。 ろ過することで,混入した細菌を除去できます。
  2. 調製した移動相は一両日で使用しきってください。 まとめて大量に調製する場合でも一週間分程度としてください。 一日使用分だけをリザーバーボトルに移して使用し,残りは密栓して冷暗所で保存してください。
  3. 移動相に大気から細菌が混入しないように,リザーバーボトルの口にサクションチューブを通したキャップを付けるか,口をアルミホイルやパラフィルムで覆ってください。
  4. 装置をしばらく使用しない場合は,カラムを取り外してプラグで封管して保存してください。 余った移動相は密栓して保存してください。 また,流路内に細菌が繁殖しないようにするため,水で流路内の移動相を洗い流した後,エタノールに置換するか,付属の注射器でドレインチューブから水を抜いてください。
  5. PIA-1000用移動相(IC-MA3-1)はろ過処理が施されており,また抗菌作用がありますので,基本的にそのまま使用できます。 ただし,すべての菌種に有効とは限りませんので,上記と同様の取扱いをお願いします。