超高速分析による省溶媒化の実現とランニングコストの削減

 

 アセトニトリルは,UV検出において短波長側での妨害が少ないなどの理由からよく使われています(参考:逆相クロマトグラフィーにおけるアセトニトリルとメタノールの違い )が,最近アセトニトリルの入手が困難になっていることが話題になっています。
 今までより大幅に溶媒消費量を削減する方法として,分析時間の短縮する「分析の高速化」をご紹介します。

● 分析の高速化による分析時間の短縮

分析はどれくらい高速化できるのでしょうか? 例えば,セフェム系抗生物質12成分の分析は汎用LCで27.5分かかっていた分析を,超高速HPLC UFLCでは4分で分析できます。 UFLCでは汎用LCに比べて,溶媒消費量は約1/7に削減できます。 また,省溶媒化はLCおよびLC/MSのランニングコストの引き下げに大きく貢献します。 多検体連続分析を行う場合,これまでならば,3Lガロンビンで用意していた移動相が,わずか500mLビンで十分足ります。

では,どのような方法で分析の高速化を図ればよいのでしょうか?  「寸法(長さや内径)の小さなカラムに交換する」あるいは「送液ポンプの流速を上げる」を実施すれば,分析スピードはアップします。
しかし,真の分析の高速化のためには,分析時間を短縮した後においても,

 (1) 目的ピークが全て溶出している。
 (2) 目的ピークの分離が維持されている。

を満足する必要があります。


単純に「寸法(長さや内径)の小さなカラムを使う」あるいは「流速を上げる」だけでは,分離にかかる作用が短くなるため,ピークの分離が悪化します。 高速性を維持したまま,ピークの分離悪化を抑制するにはどうすれば良いのでしょうか?

● 理想的な高速分析とは?

 分離を損なわず分析を高速するには,「より小さな粒子径の充てん剤を充てんしているカラム」を採用します。 より微細な充てん剤には,「流速を上げたり短いカラムに置き換えたりすることによって生じる分離能の悪化を抑制する効果」があるからです。「微粒子充てん剤のはなし」で説明しましたように,van Deemterの式に従って充てん剤の粒子径を小さくするほど,理論上は,より分離能の高い分析が可能になります。
しかし現実的には,充てん剤の粒子径を小さくしすぎると,さまざまな要因によって,van Deemterの式からの乖離が生じることになります。  例えば,粒子径を小さくしすぎると,充てん剤同士の隙間が小さくなりすぎるため,通常の流速であるにもかかわらず,非常に高い圧力が発生します。 すると,移動相とカラム充てん剤との間で摩擦熱が生じ,これが原因でカラム内部に温度ムラが発生。 その結果としてピークがブロードになるため,分離の悪化を招くことになります。「粒子径を小さくてして,とにかく高圧をかける」という馬力頼りでは,理想の高速分析は達成できないといえます。
そこで,Prominence UFLC,XR-ODSシリーズは,van Deemter理論からの乖離をできるだけ抑えた状況下で高速分析を実現する上で必要な機能が予め搭載されています。

HPLC移動相としてよく使われるアセトニトリルが流通不足,在庫不足と言われています。溶媒消費量削減するため対策ページです。