熱分解GC-MSによるPIP(3:1)の分析

熱分解GC-MSによるPIP(3:1)の分析

リン酸化合物は、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤などプラスチックの添加剤として広く用いられているため、スクリーニングにはPIP(3:1)に対して選択性を持った熱分解(熱脱着)-GC-MS(Py/TD-GC-MS)のような分析手法が有効です。熱分解(熱脱着)-GC-MS(Py/TD-GC-MS)は、国際規格IEC 62321-8にも採用されており、溶媒抽出GC/MS法のような多量の有機溶媒が不要であるため、環境や分析オペレーターに優しい装置として注目されています。ここでは、Py/TD-GC-MSによる樹脂中PIP(3:1)の分析についてご紹介します。

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標準試料(1000 mg/kg)のSIMクロマトグラム

図 1 標準試料(1000 mg/kg)のSIMクロマトグラム

PIP(3:1)の標準溶液は、PIP(3:1)標準物質(Chiron AS、P/N 8777.27)をアセトンで希釈して調製しました。次に、PIP(3:1)の樹脂中濃度が1,000 mg/kgになるようにサンプルカップに適量のPIP(3:1)標準溶液とPVC溶液を加え、室温で乾燥させた後、Py/TD-GC-MSで測定しました。図1は、3つのイソプロピル基を持つ分子量452のPIP(3:1)のSIMクロマトグラムです。

実試料の分析 

PIP(3:1)が使用されている成形品を測定したところ、いずれの試料からも標準溶液と同じ保持時間にPIP(3:1)由来のピークが検出されました(PVC製キャップ:図4、ポリウレタン製スポンジ:図5)。 ポリウレタン製スポンジの測定で得られたScanスペクトルを高分子添加剤ライブラリに照合したところ、スポンジ試料にリン系難燃剤の一種であるリン酸トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)(TDCPP)が使用されていることがわかりました(スペクトルの類似度:95)。

PIP(3:1)が使用されている成形品を測定

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