発生ガス分析

熱分析では温度変化に伴う質量変化を熱重量測定で測定しています。一方、重量減少に伴う物質の定性を行う一つの手法として,発生ガスをMS分析する方法があります。
発生ガスと温度変化の相関を見る手法として,発生ガス分析法(EGA:evolved gas analysis)があります。この手法は分解炉で発生したガスを直接質量検出器(MS)部に導入して測定を行います。
また、発生ガスの定性を行う手法としては、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法(Py-GCMS)があります。この手法は発生したガスをカラムで分離してMS部に導入し、マススペクトルによる定性を行います。
これらにより、CNTの組成や修飾状態を評価することができます。

ここでは、市販のSWNTについて、EGA法とPy-GCMS法を用いて分析を行った例をご紹介します。

発生ガス分析法(EGA-MS)によるガスの分析

発生ガス分析法(EGA-MS)によるガスの分析

熱分解GCMS法(Py-GCMS)によるガスの定性分析


 

熱分解GCMSシステム

プラスチック、ゴム、樹脂などの高分子化合物を500℃以上の温度で熱分解し、得られる熱分解生成物をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で分析するシステムです。
これらの生成物は元の高分子化合物の構造を反映していますので、それらから高分子の同定や、より高次な構造解析ができます。またデータベース検索ソフトが同定を支援します。