残留不純物測定 (X線光電子分光測定)

代表的なCNT製造法にはアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法などがあげられます。いずれの方法も生成物中にはアモルファスカーボン、炭素ナノ粒子、フラーレン、金属微粒子などが副生成物として含まれるため、一般には製造後に精製を行う必要があります。フラーレン類は有機溶媒に可溶なため抽出により除去されます。また金属類は酸処理などにより除去が可能です。精製が不十分な場合は微量の不純物が残留することがあります。

CNT中に含まれる触媒や、精製時に使用される酸などに由来する不純物元素を0.1mg程度の極少量でも高感度に測定するには,X線光電子分光測定が有効です。 
下記は、SWNTをX線光電子分光測定した結果です。
CNT中に含まれる触媒や酸処理時の不純物元素を高感度に測定するためには、X線光電子分光測定が有効です。この例では、触媒由来と思われる鉄(Fe)や、酸処理由来と思われる塩素(Cl)が確認できました。
また、化学修飾したCNTの修飾基の分析にも有効であると思われます。

 

AXIS Nova

X線光電子分光分析装置

試料導入から分析開始までを大幅に自動化したマイクロXPSです。110mmφの試料プラタン上の任意の位置をCCDカメラ像もしくはリアルタイムの光電子像からすばやく分析位置を指定することができます。これまで難しいとされてきた有機物のマイクロ分析も画期的な中和方法(特許)で、試料にダメージを与えず、分解能のよいスペクトルを得ることができます。