LC/MSによるタンパク質・ペプチドの分析

ウマ心筋ミオグロビンの分析例

医薬品としてのタンパク質製剤は,生体からの精製品から組換え技術を用いた製品に移行しており,インシュリン,インターフェロン,エリスロポエチンなどが上市されています。
品質管理の観点から,組換えタンパク質の発現確認は重要な工程であり,ペプチドシークエンサーによるアミノ酸配列分析や,簡便な方法としてHPLCによるペプチドマッピング,MALDI-TOFMSによるマスマッピング等が適用されています。
ここでは四重極型質量分析計を用い,ウマ心筋ミオグロビンをモデル試料とした,LC/MSによるタンパク質の分析およびペプチドマスマッピング例をご紹介します。

図1にウマ心筋ミオグロビンのトリプシン消化物の全イオンクロマトグラムを示しました。

図1 ミオグロビントリプシン消化物の全イオンクロマトグラム

図2に本法によるウマ心筋ミオグロビン由来ペプチドのアミノ酸配列を示しました。フリーのリジンを除いてミオグロビンのすべてのアミノ酸領域をカバーすることができました。(図中で回収されたペプチドは下線で示しました。)

図2 ウマ心筋ミオグロビンのアミノ酸配列

 



LC/MSは組換えタンパク質の発現確認や,構造既知ペプチド中の構造変化の確認,またペプチドシーケンサのデータを補完する分子量情報を得る手法として有用であることが分かります。

また,これらアミノ酸を含むペプチド組成の確定にはアミノ酸組成分析法の併用が有効です。また構造未知ペプチドのde nove配列解析には,ハイブリット型質量分析計LCMS-IT-TOFなどのMS/MS装置による分析が有効です。

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