硝酸イオン・亜硝酸イオンは、窒素肥料や腐敗した動植物、家庭排水などにより環境水に存在し、近年の様々な知見より極めて低濃度であっても人の健康に影響をもたらすことがわかってきました。これを受け、水質基準に関する省令(厚生労働省令第101号)が改正され、平成26年4月1日より、新たに亜硝酸態窒素として水質基準項目が設けられ、基準値0.04mg/Lが設定されました。
2021年には国内の病院において、窒素化合物を含む冷暖房管理用の空調水が、逆流防止用の弁の劣化により、上水道に混入した結果、乳児がヘモグロビン血症を発症する事故が報告されたことを受け、亜硝酸態窒素の分析が注目されています。

亜硝酸態窒素の検査方法は、「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(平成15年厚生労働省告示第261 号)」で定められており、エチレンジアミンを検水に添加して分析するイオンクロマトグラフ(陰イオン)による一斉分析法が採用されています。

 

陰イオン分析用サプレッサイオンクロマトグラフ HIC-ESP を用いた水道水の分析

ここでは、令和2年4月1日施行・改正された上記省令に基づき、陰イオン分析用サプレッサイオンクロマトグラフHIC-ESPを用いた水道水中の陰イオンを分析した例をご紹介します。 

亜硝酸態窒素は他の水質基準項目の対象イオンと比較して測定濃度が低く、直前に溶出する塩化物イオンの影響を受ける恐れがありますが、いずれの塩化物イオン濃度でも良好な回収率であることであることを確認できました。

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