高感度ガスクロマトグラフシステムを用いた人工光合成研究における反応生成物の分析

高感度ガスクロマトグラフシステムを用いた人工光合成研究における反応生成物の分析

人工光合成は,太陽光エネルギーを利用して高エネルギー物質を作り出す技術を指し,太陽電池,太陽熱,バイオマスに次ぐ4 番目の太陽光を利用した再生可能エネルギーとして期待されています。
ここでは,光触媒を用いた光化学的二酸化炭素還元反応において,生成したCO とH2を高感度ガスクロマトグラフシステムを用いて同時に分析した例をご紹介します。

光化学的二酸化炭素還元反応における生成物分析のクロマトグラムをFig.1に示します。また,反応時間とCO,H2の生成量をプロットしたグラフをFig.2に示します。反応時間30 分までに急激にCO の生成量が増大し,その後は緩やかな上昇に転じることが確認されました。
高感度ガスクロマトグラフシステムに搭載するBID は,CO とH2を同時に高感度測定することが可能です。また,カラムから溶出してくるあらゆる成分を検出できるため,目的成分の測定と共に,様々な情報を入手することができます。

Fig.1 光化学的二酸化炭素還元反応における生成物のクロマトグラム

Fig.2 反応時間とCO,H2生成量の推移

分析条件

カラム Micropacked ST
カラム温度 35 ℃(2.5 min) – 20 ℃/min – 180 ℃(0.5 min) Total.10.25 min
キャリアガス制御 圧力
圧力プログラム 250 kPa(2.5 min) – 15 kPa/min – 360 kPa(0.42 min) (He)
注入モード Split (1:10)
注入口温度 150 ℃
検出器温度 280 ℃
放電ガス流量 70 mL/min
注入量 50 μL

北里大学理学部・JST さきがけ  石田 斉准教授、倉持 悠輔特任助教ご提供データ
 

高感度ガスクロマトグラフシステム

新型検出器BID-2030を搭載した高感度ガスクロマトグラフシステムです。BIDは,誘電体バリア放電プラズマによるイオン化法を用いた全く新しい汎用型検出器であり,
(1)高感度,
(2)あらゆる成分を検出,
(3)長期安定性 
を特長としています。

人工光合成研究向けガスクロマトグラフのご提案

ppmレベルの高感度分析が必要な場合
一種類のカラムで分析できる場合

 

高感度ガスクロマトグラフシステム
(Nexis GC-2030 + BID-2030)

高感度ガスクロマトグラフシステム
  • HeとNe以外のあらゆる成分をppmレベルで高感度分析できる
  • カラム等の分析条件を自由に変更できる
  • 目的成分以外の成分も同時に検出することができる
  • 高純度ヘリウム(99.9999%)が必要
  • 一種類のカラムで分離できない場合は,カラムを付け替えて測定する必要がある(安定化時間が必要)

対象成分が多く,
一種類のカラムで分析できない場合

 

島津システムガスクロマトグラフ
(GC-2014)

システムGC
  • 一台の装置に複数の分析ライン(カラム)を搭載するため多成分分析に対応できる
  • 分析条件があらかじめ最適化されている
  • 気相と液相の両方を同一GCで測定することができる
  • 無機化合物については,TCDを使用する場合,ppmオーダーでの高精度な分析は難しい
  • 分析条件を簡単に変更できない
  • 目的成分以外の成分を検出できない