CFRPの物性評価 ~ ミクロ評価からマクロ評価まで ~

走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700HT
走査型プローブ顕微鏡 SPM-9700HT

CFRPを成型する際に,成型品内部では熱ムラが発生します。これは炭素繊維(CF)と樹脂の熱伝導度の違いが原因の一つと考えられます。熱ムラにより,CFRP内部のCFや樹脂の物性に分布が生じます。CFRPを始めとした複合材料は内部構造が複雑なため,材料設計には複合材料内部の性能分布に対する理解が必要になります。様々な微小領域の物性が評価できるSPMを使い,ナノTAによるCF近傍と遠方の樹脂のガラス転位点の違いやFRP表面のヤング率分布について評価した事例を紹介します。

CFRPの微視的解析例

CFRP(下記光学写真)等複合材のファイバー部のみ,または樹脂部のみの熱物性値を得たい場合に,従来の熱分析試験法ではプローブ径や試験位置指定精度の点より適用できません。本システムを使用すれば,可能となります。
(試料:UD 積層板[0]2

CFRP断面図(光学像)

CFRP断面図(光学像)

微小部熱機械特性曲線

上記光学像における中央樹脂部の試験を実施しました。AFM像(右上図)の十字状に配列された痕跡が試験箇所です。CF(Carbon Fiber)を避けて樹脂部のみの試験ができていることを示すと共に試験結果(右グラフ)より樹脂との距離によりガラス転移温度が異なることが分かります。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)航空本部 複合材技術研究センターとの共同研究により実施

FRP表面のヤング率分布評価

繊維強化プラスチック(FRP)のフィラーの有無による表面物性分布の比較評価事例をご紹介します。ナノインデンテーション法による硬度試験では特定点での精密な硬さ測定ができます。一方,原子間力顕微鏡(AFM)の原理を利用することで,ナノインデンテーション法より狭い測定間隔で相対的な物性分布の測定ができます。フィラー無しのプラスチックに比べて,フィラー入りのプラスチックでは,ヤング率分布の差異が明瞭に観察できています。樹脂部のヤング率は800MPa,フィラー部は2GPa程度と明確にヤング率分布が異なっていることがわかります。

フィラー無しのプラスチック

フィラー無しのプラスチック

フィラー入りプラスチック

フィラー入りプラスチック

  • 物性分布のマッピングが可能。
  • 局所的な機械的特性,熱物性の評価が可能。
Top of This Page