赤外ラマン顕微鏡AIRsightにおけるレーザーの使い分け-紫外線劣化プラスチックの評価-

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ユーザーベネフィット

- 赤外ラマン顕微鏡AIRsightは試料に合わせて2種類のレーザーが選択可能です。 - 蛍光の影響を受けやすい試料は、785 nmのレーザーを用いた測定が効果的です。 - ブリーチングタイムを設定することで、蛍光の影響を軽減することも可能です。

はじめに

ラマン測定において、ラマン散乱光強度は使用するレーザー波長の4乗に反比例する(レイリーの散乱法則)ため、使用するレーザーの波長によってラマン信号強度は変化します。そのため一般的なラマン測定では強い信号強度を得ることが可能な短波長レーザーを使用しますが、蛍光の問題が発生する場合があります。試料が短波長レーザーから照射される紫外可視光を吸収して蛍光を発した場合、この蛍光に微弱なラマン信号が埋もれてしまうこととなります。このような場合には、蛍光を発しにくい長波長レーザー使用することで、蛍光の影響が少ないラマン信号を得ることが可能となります。赤外ラマン顕微鏡AIRsightシステムには標準で532nmと785nmのレーザーを搭載しているため、試料に合わせてレーザーを選択できます。 今回は、AIRsightを用いて紫外線劣化させたプラスチックを上記2種類のレーザーで評価した事例をご紹介します。なお、紫外線劣化させたプラスチックをFTIRで評価する際に、劣化前後でスペクトル形状が変化することはよく知られています。詳細はアプリケーションニュース01-00001をご参照ください。

2023.07.20