KRATOS ULTRA2 (英国名AXIS Supra+)
排ガス浄化用三元触媒(Pd / CeO2-ZrO2) のXPS分析と測定時の注意点
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ユーザーベネフィット
- 触媒に担持された金属元素の化学結合状態を解析することが可能です。 - Pd含有触媒を測定する際に生じる、Pd酸化物の還元の実例をご紹介します。
はじめに
三元触媒のPd/CeO2–ZrO2は、ガソリン自動車の排気ガスに含まれる有害成分(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物)を酸化・還元反応によって無害な成分(二酸化炭素、水、窒素)に浄化するために使用されています。 Pd/CeO2–ZrO2に含まれるPdやCeは、排気ガスに含まれる有害成分を浄化する過程で、酸化数が変化することが知られています。また、Pd酸化物は2価よりも高くなると一酸化炭素との反応性が高くなるという研究結果も報告されています。このように触媒に含まれる金属の酸化数を分析することは、触媒反応のメカニズム解明や性能向上に欠かせない要素となっています。Pdなどの貴金属は触媒表面に微粒子の状態(数nm~数10nm)で担持されるため、その酸化数の分析には、表面~約10nmの深さまでの分析ができ、化学結合状態の解析ができるX線光電子分光法(XPS)が適しています。 本稿では三元触媒のPd/CeO2–ZrO2と、Pdを担持していない酸素貯蔵材料(OSC材)CeO2–ZrO2の2種類をKRATOSULTRA2で分析し、三元触媒中のPdの酸化数とOSC材にPdを担持させたことによる、Ceの酸化数の変化を調べた事例をご紹介をします。
2023.06.27