熱分解-GC/MSを用いた12種類混合のマイクロプラスチック標準試料の詳細分析

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ユーザーベネフィット

- 各樹脂特有の熱分解生成物を高感度に検出し,混在した微量の樹脂を個別に定性,定量分析することが可能です。 - 試料から樹脂のみを分別する煩雑な前処理が不要で,固体試料を直接分析することができます。

はじめに

大きさ数µm~5mm程度の微細なプラスチックはマイクロプラスチック(MPs)とよばれ、海洋汚染や生態系に及ぼす影響が懸念されており、MPsの実態調査や有害性評価が行われています。ASTMなどではPy-GC/MSを用いたMPsの試験方法が検討されており、簡便に定性、定量が可能なスクリーニング分析のワークフローの構築が求められています。複数種類の微小なMPsと夾雑成分が混在してMPsの分別が困難である場合には、熱分解-GC/MS(Py-GC/MS)が有効な手法として報告されています。Py-GC-MSは固体試料を直接分析することが可能であるため、環境サンプル中からMPsのみを分別する煩雑な前処理が不要です。各樹脂特有の熱分解生成物を高感度に検出することで混在した微量の樹脂を個別に定性、定量することが可能です。本稿では、Py-GC/MSを用いて世界で生産量の多い12種類の樹脂で構成された標準試料を分析し、検量線の直線性、再現性、回収率、定量下限を確認しました。

2023.06.29