試料冷却によるダメージ軽減効果(加熱/冷却機構)

ダウンロード

ユーザーベネフィット

- X線でダメージを受ける触媒・高分子などの試料を対象に、物質最表面の本来の結合状態解析を可能にします。 - 分析室内で試料を加熱、冷却しながら実際の使用環境に近い温度で測定ができます。

はじめに

X線光電子分光法(XPS)は固体表面に軟X線を照射したときに放出される光電子のエネルギーを測定する表面分析手法であり、物質表面の元素の定性・定量分析、化学結合状態分析ができます。XPSは固体材料の最表面の状態を非破壊で分析できる手法として知られています。しかし銅の化合物など、一部の遷移金属や有機物の中にはX線を照射することでダメージを受け、状態が変化する物質も存在します。試料にダメージが生じると、本来あるはずの結合状態を解析することができなくなります。例えば触媒材料として有名なパラジウムは、大気中で安定なPd(Ⅱ)が多く用いられています。しかしながら、状態によってはPd(Ⅱ)はX線照射に伴う還元を起こし、XPS測定時に価数が正しく評価できず製品の研究・開発などに支障をきたす恐れがあります。 XPSで固体表面の本来の化学結合状態を解析するためには、分析中にサンプルを変質させないことが重要です。X線でのダメージを抑える方法の一つに、試料を冷却しながら測定をすることが挙げられます。本報告では、装置のオプション機能である加熱冷却機構を用いて、試料を冷却しながらXPS分析を行った事例についてご紹介します。

関連製品

一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。